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STICKERS:東京で生まれたユニークな展覧会

すべては2023年5月、アーティスト VLOT とのいくつかの会話から、静かに始まりました。彼は当時、ある国際的なプロジェクトに没頭していました。テーマは「ステッカー」。世界中の街で、誰の許可も求めることなく自然発生的に広がっていくこの文化を讃える映画の制作です。

ほどなくして、まるでごく自然な流れであるかのように、私たちの考えは一つの方向へと収束しました。単にステッカーを並べる展示ではなく、ストリートアートが都市を“損なう”ものではなく、むしろ都市を照らす存在であることを示す展覧会をつくろう――そう決まったのです。

今回のキュレーションには、三つのシンプルな目標がありました。
一つ目は、ステッカーアーティストたちのコミュニティを集めること。多くの作家は、互いの作品を街の壁で見かけることはあっても、実際に顔を合わせたことはほとんどありませんでした。
二つ目は、ステッカーやストリートアートについて、一般の観客との対話を生み出すことです。「違法」や「落書き」といった言葉から始まるのではなく、まずは好奇心から始まる会話を。
そして三つ目は、こうした作品をあえて伝統的なアートギャラリーという場に持ち込み、ステッカーを本来の姿で見てもらうことでした。そこにあるのは、アイデンティティやユーモア、反骨精神、そして時に繊細なメッセージを宿した作品なのです。

Instagramで行った参加募集の反響は、私たちの想像をはるかに超えるものでした。世界中から500名以上ものアーティストが応募し、アマチュアから著名な作家まで、多様なクリエイターが作品を送り届けてくれました。そして展覧会が終わって数か月が経った後も、ギャラリーには封筒が届き続けました。その一つひとつが、この企画がどれほど多くの人の心を動かしたかを物語っていました。

これは東京で初めてとなる規模のステッカー展でした。多くのアーティストにとって、この展覧会は、自分のスタイルや声を自由に表現し、世界でも特に刺激的な都市の一つである東京で発信する、貴重な機会となったのです。

準備は想像以上に過酷で、時にはまさに“ヘラクレス級”とも言える作業でした。展示構成の設計、ギャラリー空間の構築、そして寄せられたすべての作品の整理と記録。具体的には、到着確認を行い、ステッカーを一枚ずつスキャンし、アーティストを特定する――そんな作業を6か月間、ほぼ毎晩続けていきました。

そして迎えた最終週、少人数ながら頼もしいチームが集まりました。私たちは力を合わせ、約100枚のパネル、アーケードゲーム筐体、防 riot 装備、さらには数々のオブジェクトに、何千枚ものステッカーを貼り込んでいきました。作業は時に無茶とも言えるものでした。たとえば、たった二組の手で巨大なボードの束を持ち上げるような場面も。それでも不思議とすべてが噛み合い、2023年12月9日(土)のオープニングに間に合う形で完成へと辿り着きました。

Night Out Gallery で行われたオープニングレセプションは、まさに特別な瞬間でした。これまで何年も街の壁で見てきたタグや名前に、ようやく“顔”が結びついたのです。アーティストたちは宝物を交換するかのようにステッカーを交換し合いました。会場にはコミュニティウォールが設けられ、来場者は誰でも自分のステッカーを貼ることができ、また用意された無地のステッカーにその場で描いて参加することもできました。

2週間の会期のあいだ、会場には絶えず人が訪れました。友人、家族、そして好奇心に導かれた来場者たち。展示の空気は最後まで途切れることなく、活気に満ちていました。

そして、その場には確かに何か持続するものが生まれていました。それまで作品を通してしか交わることのなかったアーティスト同士の間に、新しい友情が芽生えたのです。そこにはコミュニティの感覚も育っていました。来場者たちは、創造性が遠い存在でも、限られた人だけのものでもないことに気づきます。むしろそれは、身近で、遊び心にあふれ、誰にでも開かれたもの。ステッカーは誰でも作れる。そして、剥がして貼るその一瞬だけでも、誰もがアーティストになれるのです。

この冒険の記録を残すために、私たちは展覧会の記念として2冊の書籍を制作しました。
『Stickers First Edition』(200部・96ページ・各冊にNFCチップを搭載)と、『Stickers Extended Edition』(300部・344ページ)です。

この2冊は、ステッカーアーティストとそのInstagramアカウントをまとめたユニークなインデックスとして機能しています。街でステッカーを見つけたとき、その作者が誰なのかをたどることができる――そんな小さなガイドとしても役立つ一冊です。

Tokyo WALLS は、このプロジェクトを最初の構想から最後の瞬間まで支え続けてくれた VLOT と Night Out Gallery に、心からの感謝を表します。
彼らの揺るぎないサポートがあったからこそ、この冒険は実現し、そして何よりも、喜びに満ちた忘れがたい時間となりました。